手打ちパスタ工房”Base” 河村耕作(かわむらこうさく)
■名称 河村耕作(かわむらこうさく)
■生息地 茗荷谷界隈
■えさ 酒
■特徴 見た目、国籍不明のパスタ打ち。イタリアで学んだ、手打ちによる製麺技術を伝えている。
自らを「パスタ打ち」(イタリア語でスフォリーノ)と名乗る河村耕作さん。パスタを打つときの半端ない目力。小麦粉と卵を混ぜ合わせて捏ね、麺棒で伸ばして「タリアテッレ」(幅広のロングパスタ)に仕上げていく所作には無駄がなく、その間、声をかけるのもためらわれてしまうほどストイック。ちょっぴり怖そうに見える国籍不明のヴィジュアルですが、中身はお酒の好きな生粋の日本人です。
大学卒業後、勤めていた会社を辞めて調理師専門学校へ。30歳の時、コーヒーについて学ぶために訪れたイタリアでパスタと運命的な出逢いを果たします。それは、友人たちと訪れた北イタリアの小さな町の手打ちショートパスタの店。「理由は分からないけど、これだ!と思った」河村さん。
そこからの行動力がすごい。
まず、ボローニャにあるパスタ学校”旧La vecchia scuola bolognese”に入学し、手打ちパスタの技術を学びます。その後に地元のレストラン”Ristorante Garganelli”に就職し、製麺を担当。その後、請われてパスタ学校に戻り、手打ちパスタのプロフェッショナルを育成するコースの講師を務めるまでに。
こうやって文字にすると簡単なように感じるかもしれませんが、イタリアの心ともいえるパスタの世界で日本人が第一線で活躍するのは稀なこと。ご本人はあまり語りませんが、そこに、並大抵でない努力と苦労があったことは想像に難くありません。
2012年、イタリアを離れアメリカ・LAでイタリアンレストラン”BUCATO”の開業に携わった後、帰国。2015年に「手打ちパスタ工房”Base”」をオープンしました。
”Base”で食べられるのは、手打ちのタリアテッレにオリーブオイル、パルミジャーノチーズ、胡椒を合わせたTagliatelle in bianco と他1-2種類のみ。日本で手打ちパスタというとモチモチした食感をイメージされると思いますが、が河村さんのタリアテッレは軽くて、つるりと滑らかな食感が特徴です。
「正式なリストランテでは、パスタはあくまでもメインの前に提供されるもの。味つけも食感も軽めでなければならないのです」と河村さん。メニューの少なさに驚かれることも多いそうですが、開業以来、このスタイルを守っています。
河村さんは”Base”を本格的なイタリアの手打ちパスタの技術を伝える場所と位置付けており、プロ・アマ問わず学べる製麺教室も開催しています。
開業から7年。途中、コロナ禍もあって開催できなかった「この先のパスタを考えるためのイベント」を、仲間のシェフたちと計画中だとか。
これからの展開が楽しみです。
Base
東京都文京区小石川5-34-10 長島ビル 1F
http://www.pasta-base.com/